囲碁交流会の発案と企画運営をして
東峰保育園園長の吉沢偉仁(よしざわひでひと)は、東日本大震災後、福島の子ども達が差別やいじめに遭っていることを知り、そのような状況を改善したいという強い思いから、囲碁を通じた交流会の開催に尽力しました。園長は、どの地域の子どもも分け隔てなく平等であるべきだと考えていました。
その結果、日本棋院に問い合わせを行い、栃木、福島、宮城の囲碁を打つ子ども達を集めた囲碁交流会(囲碁合宿)の開催を実現しました。歴史的に見ても、白河の関以北は「みちのく」と呼ばれ、栃木と福島の間の交流は少なかったとされています。縦に並ぶ三県をまとめて囲碁を通じた文化交流を行うことは、当時としては非常に珍しいことでした。
この交流会は、白河にある広大な敷地の国立那須甲子青少年自然の家を舞台に、新型コロナの流行まで夏休み期間中に毎年開催されました。青少年団体は無料で施設を利用できるため、経済的な負担も軽減されました。
交流会の発案者である園長は、参加費を抑えるために、エアコンのない施設で運営のほとんどをボランティアで担うという、大変な裏方の仕事も引き受けました。
吉沢偉仁は、少年時代にボーイスカウトやYMCAで活動していた経験を活かし、野外教育を担当しました。また、副園長の吉沢誠子は、保育士としての専門的な技能を活かし、レクリエーションを担当しました。
この囲碁交流会(囲碁合宿)では、福島囲碁会館の宮腰紹子先生、国見こども囲碁教室の斎藤武先生、栃木県囲碁学校の桑原敏幸先生が中心となって指導を行いました。この活動は、地元紙である福島民報や栃木よみうりにも掲載され、高く評価されました。
囲碁交流会がもたらしたもの
地域を超えた文化交流:歴史的に交流の少なかった栃木、福島、宮城の三県の子どもたちが、囲碁という共通の文化を通じて心を通わせる、画期的な場となりました。地域間の壁を取り払うだけでなく、子どもたちが新たな友情を育む大切な機会となりました。