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アドラー心理学『STEP』と『般若心経』に学ぶ | 園長:吉沢偉仁の思い | 東峰保育園 公式


東峰保育園 園長 吉沢 偉仁


園長という立場にある私が、自分自身の幼い頃の体験や過酷だった生い立ちについて、こうして公の場で語るべきかどうか、実はとても長いあいだ悩んでいました。


教育者(児童福祉事業)の経営者の家庭で育った自分が、家庭内での傷やかつての失敗を明かすことで、「世間からどんな目で見られるだろうか」と、不安や葛藤がなかったと言えば嘘になります。


けれど、東峰保育園が創立50年という大きな節目を迎え、また私自身が藍綬褒章という身に余る栄誉をいただく中で、私の心の中に一つの強い想いが芽生えました。


「なぜ、私はここまで命がけで『東峰方式®』という人間教育を追求してきたのか」
「なぜ、単にお預かりするだけでなく、自分の足で立ち上がる『自律の力』にこだわるのか」


その本当の理由を隠さずに優しくお伝えすることこそが、これまで当園を信じてくださった皆様への誠意であり、未来を生きる子ども達と保護者の皆様に対する、私の大切なお約束なのだと感じています。


私の幼少期から少年期にかけての家庭環境は、思い返してもとても過酷なものでした。


一人っ子として育ち、10歳で弟が生まれたことによる家庭内での立場の大幅な変化、そして幼いながらに家庭の重圧を背負わされたヤングケアラーとしての孤独。何より、家庭内で日常的に続いていた強い虐待の体験です。


当時の私は、「厳しいお父さんから、しつけを受けているんだ」と自分に言い聞かせようとしていました。けれど本当は、心も体も日常的に追い詰められ、恐怖と理不尽な苦痛の中で、幼い心は常に壊れてしまいそうでした。


学校での私は、周りの友達に対して乱暴な行動をとったり、意地悪をしてしまったりすることがありました。先生からは「どうしてそんな弱い者いじめをするんだ」と、何度も強く叱られました。


大人になり、自分の過去を静かに深く見つめ直したとき、私は当時の自分の感情の真実に気づきました。


それは決して、誰かを傷つけたいからやったことではなかったのです。家の中で逃げ場のない恐怖に押し潰されそうになっていた小さな自分が、「そうでもしなければ、自分が壊れてしまう」と必死でもがいていた、悲しいSOSであり防衛本能でした。


でも、当時の大人達は誰もその背後にある悲鳴に気づいてはくれませんでした。目に見える行動だけを叱られることで、私の心はより一層深い孤独の中に閉じ込められていったのです。


大人になり、子ども達と向き合う教育の道に進んだ私は、1996年にアドラー心理学に基づく「STEP(Systematic Training for Effective Parenting:効果的な親のための体系的訓練)」という勇気づけのプログラムに出会いました。


その上下巻に及ぶ指導書での学びは、単なる子育てのノウハウではありませんでした。自分の生い立ちや家族関係、心の中に隠してきた傷とまっすぐに向き合うことを求められる、極めて深い「自己との対話と考察」の旅でした。


自分の過去の痛みを思い出すことは、心を深くえぐるような怖さを伴います。だからこそ多くの人は無意識に心にバリアを張り、「難しくて分からない」と向き合うのをやめてしまいがちです。


けれど、私は逃げませんでした。自分を客観的に分析し、言葉を使って自分の感情のひだをひとつひとつ解きほぐしていきました。


その考察の中で、私はずっと「厳しい父親の愛情」だと思おうとしていたものが、実は民主的な関係とは程遠い、力による支配と虐待であったという真実に気づくことができました。STEPが教えてくれた「お互いを尊重し、信頼し合う対等な関係(民主的な関わり)」という温かな光に触れたことで、私は長年自分を縛っていた呪縛から解き放たれ、痛みの連鎖を自分の代で断ち切ることができたのです。


かつて世間で「ヨコミネ式」などが話題になった頃、私もどこかで「いつかそれに負けない、本物の人間教育を作ってみたい」という熱い情熱を抱いていました。


けれど、当園の「東峰方式®」は、最初から何か崇高な目標だけを掲げて計算ずくで作ったものではありません。


あんなにも私を苦しめ、憎んでいたはずの両親でしたが、いざ別れの時を迎えたとき、私の心は逃れようのない深い苦しみと寂しさに包まれました。「あんなに嫌だったのに、なぜこんなにも心が痛むのだろう」――その葛藤から救われたくて、私は必死で『般若心経』を学びました。そして、そこにある「空(くう)」の教えに触れたとき、私の心は初めて大きな救いと深い気づきを得ることができたのです。


幼い頃の過酷な体験、1996年に受講したアドラー心理学『STEP』での自分との対話、福澤諭吉先生の「独立自尊」や二宮尊徳先生の「知行合一」、スカウティング精神、そして両親との別れの中で学んだ『般若心経』。


これらは別々の出来事のようで見えて、私の人生の中で深くつながっていました。自分が生き抜くために、そして子ども達を救うために必死で考え抜いてきた様々な学びが、気づかないうちに一つに結ばれて生まれたのが「東峰方式®」です。


教育者(児童福祉事業)の経営者の家庭で育った自分が、家庭内での傷やかつての失敗を明かすのは、長年本当に勇気が要ることでした。けれど、自分が傷ついた被害者だったからこそ、子ども達の心の痛みや目に見えないSOSが誰よりも分かります。


子ども達が見せる乱暴な行動や意地悪、あるいは極端なおとなしさ――。表面的な行動だけを見て叱ることは、誰にでもできます。けれど、本当に大切なのは、その行動の奥底にある「言葉にならない小さな悲鳴」をそっと見抜き、包み込んであげる知性と温もりです。


誰にも気づいてもらえず、一人で壊れそうになっていた幼い日の私だったからこそ、私は東峰保育園に通う子ども達のどんな小さなサインも見逃したくありません。「二度と、あの頃の私のような思いを誰にもさせない」――それが、私の教育者としての原点であり、命がけの誓いです。


当園が実践する「東峰方式®」は、大人の都合に合わせた「言うことを聞く良い子」を作るためのものではありません。


古典の音読や漢字の学び、心を落ち着かせて描く観察画、自然の優しさと厳しさを体感する野外活動――これらはすべて、子ども達が将来どんな困難に出会ったとしても、決して自分を壊すことなく、自分で考え、自分の足で前を向いて歩んでいける「しなやかで折れない心(独立自尊)」を育むためのものです。


自分が受けた傷や過酷な体験も、向き合い方次第で、他者の痛みに寄り添い、未来を照らすための「あたたかい光」に変えることができます。


もし今、子育ての中で悩み、どう子ども達と向き合えばよいか分からなくなっている保護者の方がいらっしゃったら、どうか一人で抱え込まないでくださいね。人間はいつからでも、気づいたその時から、力による支配ではなく「互いを尊重し合える優しい関係」を作り直すことができます。


50年という長い年月をかけて歩んできた私の人生のすべては、今、この園に集う大切な子ども達の笑顔と未来のためにあります。


どんな時代になっても自分らしく伸びやかに生きていける「心と知性の土台」を、ご家庭と一緒に温かく育んでまいりたいと思っております。これからもどうぞ、よろしくお願いいたします。


                               


English Summary (AI Translation)


The Higashimine Method® was born from the principal’s personal experiences, deep self-reflection, and a lifelong commitment to helping children grow with resilience, compassion, and independence. Rooted in mutual respect and understanding, it encourages educators and parents to look beyond children’s behavior and recognize the feelings and unspoken distress behind it. Through classical literature recitation, Kanji education, observational drawing, and outdoor activities, children develop intellectual curiosity, rich self-expression, and the inner strength to think independently and face life’s challenges with confidence.


※This summary was generated by AI to help international readers.

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