大谷石の壁の意図とは?
東峰保育園の園舎に見られる大谷石の壁は、地域の特産である大谷石にガラス細工を施した、とてもユニークで美しい意匠が特徴です。その大谷石の壁には、いくつかの素敵な意図が込められています。
地域と文化の尊重
郷土愛の育み:大谷石は宇都宮市の特産品で、地域の歴史や文化を象徴する素材です。園舎に大谷石を使うことで、子ども達が自分たちの生まれ育った地域への愛着や誇りを感じられるようにという願いが込められています。
伝統と文化の継承:地域の伝統的な素材に触れることで、子ども達が自然と地域の文化に親しみ、将来にわたってそれを大切にする心を育むきっかけとなるでしょう。
自然とのつながり
自然素材の温かみ:大谷石は自然素材ならではの温かみや豊かな表情を持っています。その風合いが、子ども達に安らぎを与え、保育園全体を落ち着いた雰囲気にしてくれます。
五感への刺激:大谷石の独特な手触りや見た目は、子ども達の五感を刺激し、自然への興味や探究心を育むことにもつながります。
美的教育と創造性
芸術的な表現:壁にガラス細工が施されていることで、単なる建材としてだけでなく、芸術作品としての側面も持ち合わせています。これにより、子ども達は日常の中で美意識を養い、創造性を刺激されるでしょう。
ガラス細工の職人は誰?
東峰保育園の大谷石の壁面に使われているガラス細工は、光の造形家「菊池健一」氏と、モナコ公国文化庁から「芸術創造賞」を受賞し国際芸術大使に認定された吉澤久子の、二人のアーティストによるコラボレーションで制作されました。
菊池健一氏(1948-2005)は、栃木県を代表するステンドグラス作家。東京藝術大学卒業後、フランスに渡り、ステンドグラスを学ぶ。
地元で採掘される大谷石に着目し、ガラスの加工技術に長けた菊池健一氏は、フランスで学んだステンドグラスとの組み合わせ作品を作り続けました。
「宇都宮市役所」一階に飾られた巨大なステンドグラスや、「栃木県総合文化センター」メインホールなどにも採用されるなど栃木県を代表する作家さんだと聞いてます。
大谷石とは、栃木県宇都宮市北西部の大谷町付近一帯で採掘される灰緑色系の石材です。
旧帝国ホテル建築にあたって建築家フランク・ロイド・ライトが着眼したのが日本ならではの建築資材「大谷石」です。
石なのに加工しやすく燃えにくい特性に着眼し、複雑な装飾製作(幾何学的な装飾模様)を日本の石工職人に依頼して、建物の内・外に神秘的な表情美と造形美を演出しました。
帝国ホテルで表現された建築美と素材美は、西洋でも東洋でもない日本の独自のアイデンティティが生んだ傑作です。
ガラス細工の意図
東峰保育園の大谷石に施されたガラス細工には、子ども達の感性を豊かにし、日々の生活に彩りを与える素敵な意図が込められています。
光と色彩の体験
五感を刺激:ガラス細工は光を通すことで、様々な色や影を生み出します。刻々と変化する光と色彩は、子ども達の視覚を刺激し、美しいものへの感受性を育みます。
創造性の刺激:光の当たり方で表情を変えるガラス細工は、子ども達の想像力を掻き立て、アートやデザインへの興味を促すきっかけにもなるでしょう。
遊び心を刺激
発見の喜び:壁のガラス細工は、子ども達にとって、見るたびに新しい発見がある楽しい要素です。それはまるで宝探しのように、日常の中に小さな喜びをもたらします。
園舎の魅力アップ:ガラス細工があることで、園舎全体が明るく、より魅力的な空間になります。子ども達が毎日通うのが楽しくなるような、わくわくする環境づくりに一役買っていると言えるでしょう。
デザインと地域文化の融合
伝統と現代性の調和:伝統的な素材である大谷石と、現代的なガラス細工の組み合わせは、地域の文化を大切にしつつも、新しい価値を創造しようとする保育園の姿勢を表していると考えることもできます。
東峰保育園の大谷石とガラス細工は、単に美しいだけでなく、地域への深い思いが込められています。
地域との文化的な繋がり
大谷石と地域
宇都宮の財産:大谷石は宇都宮市大谷町で採掘される、独特な質感を持つ石材です。昔から蔵や塀、さまざまな建物の材料として使われてきました。
郷土への誇り:この大谷石を園舎に使うことで、子ども達が自分たちの暮らす地域の特産品に日常的に触れられるようにしています。これは、子ども達に郷土への愛着や誇りを育む大切なきっかけとなります。
ガラス細工と伝統工芸
新たな息吹:大谷石にガラス細工を施すことで、地域の伝統的な素材に新しい魅力を加えています。これは、現代のアートと地元の素材を融合させることで、地域文化をより豊かなものにしようという試みとも言えます。
地域全体での教育
学びの場:園舎そのものが、子ども達にとって地域の文化や歴史、自然素材を学ぶ生きた教材となっています。
地域との交流:地域固有の素材を使うことで、保育園と地域社会との繋がりを強化し、地域全体で子ども達を育んでいこうというメッセージが込められています。
大谷石の魅力
大谷石は、栃木県宇都宮市大谷町で採れる石材で、約1500万年前の海底火山の噴火によって形成された凝灰岩です。その独特の風合いと加工のしやすさから、古くから建築材として愛されてきました。
大谷石の特徴
温かみのある風合い:石でありながら、どこか柔らかく温かみを感じさせる独特の質感が魅力です。表面に現れる「ミソ」と呼ばれる斑点によって、その表情はさらに豊かになります。
高い加工性:木材用の鋸でも切れるほど柔らかく、彫刻や装飾を施しやすいのが大きな特徴です。そのため、様々な意匠デザインが可能です。
優れた機能性:空気を多く含む多孔質の特性から、断熱性・耐火性に優れています。また、室内の湿度調整やウイルス除去効果も期待できるため、内装材としても注目されています。
意匠としての多様性
大谷石は、その加工のしやすさから、多様な仕上げやデザインが可能です。
彫刻や装飾:フランク・ロイド・ライトが旧帝国ホテルで大谷石を使用し、植物をモチーフにした細かな彫り込みを施したように、彫刻的な表現も得意です。東峰保育園のガラス細工との組み合わせも、この特性を活かしたものです。
様々な仕上げ:平刃ツツキ、ビシャン、チェーン、コブ出し、リブ(三角・四角)など、加工方法によって石の表面の表情が大きく変わります。
「ミソ」の表情:大谷石には「ミソ」と呼ばれる、軽石や他の岩片などの含有物が含まれており、これが石の個性的な模様となります。このミソの大きさによって「細目」「中目」「荒目」に分類され、それぞれ異なる表情を見せます。
東峰保育園のように、ガラス細工と組み合わせることで、大谷石の持つ自然な風合いと、光を取り入れた芸術的なデザインが融合し、訪れる人々に温かくも洗練された印象を与えていることでしょう。
東峰保育園の大谷石とガラス細工の組み合わせは、ただの壁ではなく、空間に光と彩りをもたらすアートのような存在になっています。
ガラス細工がもたらす効果
光の演出
採光と輝き:ガラスは光を通すため、自然光を園舎の内部に取り込み、明るく柔らかな空間を作り出します。色付きのガラスであれば、光が差し込んだ時に、壁に美しい色のグラデーションや模様が映し出され、幻想的な雰囲気を醸し出すでしょう。
時間帯による表情の変化:朝日や夕日が差し込む時間帯によって、ガラス細工の輝き方や影の出方が変わり、一日の移ろいの中で様々な表情を見せてくれます。子どもたちは、変化する光の中で豊かな感性を育むことができます。
芸術的な価値
彩り豊かなデザイン:無色透明なガラスだけでなく、様々な色や形、質感のガラスを使うことで、壁面が一枚の絵画のように色彩豊かになります。園児にとって視覚的な刺激となり、創造性をかき立てる効果も期待できます。
伝統と現代の融合:大谷石という日本の伝統的な建材と、ガラス細工という素材を組み合わせることで、新しさと懐かしさが共存する現代的なデザインが生まれます。地域の特色を活かしつつ、モダンな印象を与えることができます。
子ども達への影響
五感を刺激:光、色、質感など、ガラス細工は子どもの多様な感覚を刺激します。触れることのできる場所にあれば、そのザラザラとした感触やツルツルとした感触、表面の温度差なども感じ取ることができるでしょう。
好奇心を育む:壁に埋め込まれたガラス細工の模様や、光の当たり方による変化は、子ども達の「これなんだろう?」という好奇心を刺激し、探求心を育むきっかけになります。
大谷石の持つ素朴で力強い質感と、ガラス細工の繊細で輝く美しさが互いを引き立て合い、東峰保育園の空間に独自の魅力を与えています。