非認知能力を育む保育について
「東峰方式(ヒガシミネ方式)」が育む「非認知能力」
東峰保育園の園長、吉沢偉仁(よしざわひでひと)が考案した独自の保育方法「東峰方式(ヒガシミネ方式)」は、子どもの「非認知能力」を伸ばすことに力を入れています。
非認知能力とは、テストの点数では測れない、自己肯定感、協調性、忍耐力、好奇心といった心の力を指します。ヒガシミネ方式では、この力を育むために、以下のような多様な活動を取り入れています。
・体操教室・音楽教室・美術教育:表現力や身体能力、感性を豊かにします。
・漢字仮名交じり教育:思考力や集中力を養います。
・野外教育(緑育):自然の中での活動を通じて、物や人との関わり方を学び、社会性やルールを身につけます。
これらの活動は、園が掲げる「子ども達に幸せな人生を歩んでもらう」という教育理念と一貫しており、子ども達が将来、自律した人間として生きていくための土台を築くことを目指しています。
非認知能力(non-cognitive skills) (文部科学省)
意欲、協調性、粘り強さ、忍耐力、計画性、自制心、創造性、意思疎通能力(communication)など、測定しにくい個人の特性による能力を指す。学力(認知能力)と対照的に用いられる用語である。
しかし、英語圏の国や国際的な機構(例えばOECD)では、このような能力は(Social and Emortional Skills)「社会情報的スキル」
すなわちこのような能力は「長期的目標の達成」「他者との協調・協働」「感情を管理する能力」に関する思考、感情、行動パターンを学習を通して発達し、それぞれの人生や社会の発展に関係するものである。
2000年にノーベル経済学賞を受賞したJames Heckmanの主張であり、彼は幼児教育と非認知能力の重要性を指摘し、それを裏付ける研究プロジェクトを立ち上げた。
このような能力は、心理学の分野、教育界で重要性を増しているが、“non-cognitive skills”ではこの概念の核心をとらえていない。英語圏(イギリス、アメリカ)ではこのような能力のことを“soft skills”、“social – emotional skills”、“character strengths”など多様な表現が混在している。教育の現場ではこのような能力のより積極的な表現として“social and dmotional learning”(SEL)が好まれている。
アメリカの教育政策:“21st century skills”という包括的概念の中で論じられている。これは批判的思考、協調性、創造性、communication能力を含む。
イギリスでは、“character education”という伝統的な概念が復活し、resilence(回復力)、grit(やり抜く力)、empathy(共感力)といった資質に焦点を当てている。
日本語の「非認知能力」は、英語圏の多様な表現を一つの用語で集約しようとした結果であるが、「非」という否定的接頭語がつくことで誤解を招きやすい。
最近では、日本の学術論文でも“character strength”、“social competercies”といった表現を使うことが多くなっている。
以上のことを踏まえて、
「非認知能力」のところに注を入れておいた方がよいと思います。
園長の伯父の五十嵐善英氏が調べて教えてくださいました。
「非認知能力」という言葉は、日本の教育界でかなり使われており認知度も高いと感じています。しかし、伯父の話も一理あると思いますので、「自立的思考・行動能力」という言葉を推奨したいと思っています。
五十嵐善英:
1971年 東北大学大学院工学研究科 博士課程修了(工学博士)
1972-1974年 英エジンバラ大学人工知能研究所 研究員
1974-1977年 英リーズ大学コンピュータ学科 講師
1977-1978年 英シティ大学コンピュータ学科 講師
1978-1983年 群馬大学工学部 助教授
1983-2004年 群馬大学工学部 教授
1980-1981年、1987-1988年 米ケンタッキー大学コンピュータ学科 教授
2004年-現在 群馬大学名誉教授