東峰方式と発達支援児への適応について
東峰保育園の「東峰方式(ヒガシミネ方式)」は、子ども達の可能性を最大限に引き出すための独自の教育方法を実践しています。しかし、この方式が発達支援を必要とする子ども達に必ずしも適しているとは限らないことをご理解ください。
東峰方式(ヒガシミネ方式)と発達支援児への適応について
東峰保育園の東峰方式(ヒガシミネ方式)は、少人数制をとり、子ども一人ひとりの「成功体験」を重視することで、知的好奇心や学びへの意欲、自律心などを育むことを目指しています。これは、テストでは測れない「非認知能力(自立的思考・行動能力)」を伸ばすことに注力しており、粘り強さ、協調性、自律性、探求心といった能力の育成に力を入れています。
しかし、この「少人数」や「個別対応」が発達支援を必要とする子ども達にとって、常に最善の選択肢であるとは限らないという懸念があります。
発達支援と東峰方式(ヒガシミネ方式)の異なる点
個別支援と発達支援の違い:東峰方式(ヒガシミネ方式)で行われる「個別対応」は、お子さん一人ひとりの強みを伸ばし、個性と才能を尊重する教育に重点を置いていますが、これは発達支援とは目的やアプローチが異なります。発達支援は、発達に特性のある子ども達の困り感を軽減し、日常生活や社会生活に適応するための具体的なスキル習得や環境調整に焦点を当てています。
教育内容の特性:東峰方式(ヒガシミネ方式)の教育には、立腰教育、国語教育、論語など、集中力や記憶力を必要とする内容が含まれています。体操、音楽、美術、漢字仮名交じり文、野外教育など、専門的なプログラムを通じて「学びへの意欲」や「学ぶ姿勢」を育むことを目的とし、これらのプログラムは子ども達の「非認知能力(自立的思考・行動能力)」を高めることに貢献しますが、中には覚えることを強調する内容も含まれるため、発達支援を必要とするお子さんにとっては、大きなプレッシャーや苦痛となる可能性があります。大きな音を嫌がるお子さんには音楽教育が不向きであったり、じっとしているのが苦手なお子さんには立腰教育が困難であるといった具体的な状況もあるかもしれません。
保育体制:少人数制ではありますが、それ故に職員数も少なく、それが発達支援を専門的に行うための人員配置とは異なるため、公立の保育園など大規模園の方が、専門の指導員や支援児のクラスが充実して、十分なサポートを受けられる可能性があります。また、自由保育が発達支援を必要とする子どもにとって、負担が少ないという意見もあります。
園の実情と入園の検討
東峰保育園は、軽度なケースのみ対応可能であり、集団行動が難しいお子さんや、体育指導、野外教育などにおいて危険が伴う場合には、必ずしも適しているとは限らないことをご理解ください
これは、良かれと思って入園させても、お子さん自身や保育士にとって負担になることを防ぐための重要な情報と考えています。
発達支援が必要なお子さんには、専門的な支援が受けられる保育園や施設、例えば公立の保育園の発達支援クラス、または「児童発達支援」と呼ばれる専門施設などが適しています。児童発達支援は、未就学のお子さんを対象に、身体的・精神的機能の適正な発達を促し、日常生活や社会生活を円滑に送れるように支援するサービスです。
東峰方式(ヒガシミネ方式)における「空の教え」と保育士の負担軽減
園長の吉沢偉仁(よしざわひでひと)は、学級崩壊を防ぎ、保育士の負担を軽減するためにはどうすればよいか、深く考え抜いた結果、独自の教育法「東峰方式(ヒガシミネ方式)」を確立しました。そこに、般若心経の「空」の教えを取り入れ、子どもの捉え方を変えることで、保育士の負担を大きく軽減することに成功しました。
「空」の教えは、物事を固定的に捉えず、多角的な視点から柔軟に理解することで、保育士が抱える「こうあるべき」といった固定観念や「できない」という苦悩を軽減する効果があります。この考え方は、子ども達の多様な発達を包容的に捉え、個々のペースや特性をより深く理解するために役立つと考えています。
具体的には、以下のような点で保育士の負担軽減に繋がっています。
固定観念からの解放:従来の「こうあるべき」という保育の枠にとらわれず、子どもの行動や状況を柔軟に受け止めることで、保育士自身の精神的な負担が軽減されます。
多様な受け止め:発達に特性を持つ子ども達のユニークな行動や反応も、「空」の教えを通じて、新たな視点や可能性として捉えることができるようになります。これにより、子ども達への理解が深まり、対応に悩むことを減らすことができます。
ストレスの軽減:「空」の思想は、完璧を求めすぎず、状況を受け入れる心の在り方を促します。これにより、保育士が直面する様々な課題や困難に対するストレスを緩和させることができます。
このアプローチは、発達支援を必要とするお子さん「そのものの指導法」ではなく、あくまで保育士の心の持ちようや、子どもへの向き合い方を豊かにすることで、結果的に保育の質を高め、保育士の負担を軽減する側面があります。
発達支援は、個別の専門的なアプローチが必要な分野であり、園の限られたリソースの中では、個別の療育指導を提供することは難しいという現実があります。
宇都宮市のウェブサイトに「障がい児保育(園でできる範囲内での相談)」と掲載されているものの、集団行動が難しいお子さんの場合、必ずしも適切な環境ではないと考えています。
例えば、運動会や発表会で人前に立つことや周囲と同じことをするのが苦手なお子さんがいるとします。本人の気持ちに沿うことなく、親が「みんなと一緒にやっている姿を見たい」と言う場合、その子には大きな負担や苦痛となってしまうことがあります。また、「みんなと同じようにできない」というストレスを親も受けることになります。