幼児教育の最終目標は「幸せな人生を歩む」ことである
吉沢偉仁(よしざわひでひと)の提唱する東峰方式(ヒガシミネ方式)において、幼児教育の最終目標は「幸せな人生を歩む」ことであり、IQだけでなくEQ(心の知能指数)も伸ばすことを目指しています。
東峰保育園は、子ども達が様々な経験を通して、将来の夢を掴み取れるように、自律心を伸ばす幼児教育に力を入れています。※自立心とは違います。
「乳幼児期に手抜きや溺愛をすると、人間としての基礎が出来ない。将来、壁にぶつかってもそれを乗り越え楽しみを見出す力。それには教養が必要であり、教育こそが子どもを幸せにする」と園長は考えています。
東峰保育園では、職員一同が子ども達を我が子のように大切に育て、「楽しい」を加えながら、学びと経験を提供することを目指しています。
自身の幼少期の経験
園長の吉沢偉仁は、共働きで忙しい両親のもと、幼い頃は一人遊びが多く、それが現在の「子どもの主体性を尊重する」保育観に繋がっています。当時の経験は、今の保育園での「子ども達に寄り添い、自由に表現できる場を提供する」という理念の土台になっています。
一人遊びから得た学び:一人でいる時間が多かったからこそ、自分で遊びを見つけ、工夫する力が育まれました。この経験から、子ども達が自ら考え、行動することの重要性を強く感じています。
「居場所」の重要性:家庭で十分に甘えたり関わったりする時間が少なかったと感じているからこそ、保育園が子ども達にとって安心して過ごせる「心の基地」となることを重視しています。
自律心を育てる上での難しさ
1. 「自律」と「自立」の違いの理解と実践
「自律」とは、自分でルールを作り、自分の行動を統制・制御しようとすることであり、自分をコントロールする意味合いが含まれます。
一方、「自立」は他者に頼らず独立している状態を指します。この二つの概念を混同せず、それぞれの段階や特性に応じたアプローチをすることが重要です。
特に幼児期においては、自己中心的になりがちな子どもに対して、社会のルールや他者との関わりの中で自分の行動を「律する」ことを教えるのは難しい側面があります。
2. 言葉での「教え込み」の限界
幼い子どもにとって、言葉だけで理屈を説明しても、理解させるのは非常に困難です。親や保育者が一生懸命説明しても、子どもがどこまで理解しているか把握しづらく、コミュニケーションの難しさが生じます。
言葉を使うコミュニケーションがまだ十分に発達していない幼児期に、どのようにして「自律心」という抽象的な概念を伝えていくかが課題となります。
3. 子どもに「やらせすぎない」「与えすぎない」こと
子どもの自律心を育むためには、「自分でやりたい」という気持ちを尊重し、様々な経験を通じて達成感を味わわせることが大切です。
しかし、親や保育者が先回りしてすべてをやってしまったり、子どもが求める物をすべて与えてしまうと、子どもは自分で考えたり判断したりする機会を失い、親に依存する傾向が強くなる可能性があります。
子どもに任せることには忍耐が必要であり、危険や手間を避けたいという気持ちとの葛藤が生じます。
4. 保護者との連携
「こんな子に育ってほしい」という保護者の願いは尊いものですが、そのための手段や方法が子どもに合っていないと、心のすれ違いが生じ、自律心を育むことが難しくなる場合があります。
園と家庭とで「自律心」育成に対する共通理解を持ち、一貫したアプローチをすることの重要性は認識されているものの、それぞれ異なる育児観や教育観を持つ保護者との足並みを揃えることには難しさがあります。
5. 発達段階に応じたアプローチ
自律心は、子どもの発達段階に応じて変化します。2〜3歳頃には本能的欲求に基づく衝動的な行動が中心である一方、就学期に向けて周囲の規範を意識し始めるなど、段階的な変化が見られます。
そのため、子どもの年齢や個性に応じた適切な関わり方が求められ、画一的な指導では効果が得られにくいという難しさがあります。
自律心は、子どもが自分らしい人生を歩み、後悔のない人生を送るために不可欠な能力ですが、その育成には多くの工夫と忍耐、そして周囲の理解が必要とされます。