心の知能指数(EQ)を伸ばそう!
幼児教育の最終的なゴールは「子ども達に幸せな人生を歩んでもらうこと」
東峰保育園園長の吉沢偉仁(よしざわひでひと)は、幼児教育の最終的なゴールを「子ども達に幸せな人生を歩んでもらうこと」だと考えています。
この目標を達成するために、東峰保育園では子ども達の自律心を育むことを特に重視しています。知識を増やすだけでなく、自ら考え、行動できる力を養うことで、変化の多い社会の中でも、子ども達が自分の力で幸せを掴み取れるよう支援しています。
東峰保育園では、IQ(知能指数)だけでなく、**EQ(心の知能指数)**も伸ばすことに力を入れているのが特徴です。これは、大人になって社会に出ていく過程で、知識に加え、人との関わり方や感情を理解する力も非常に重要になるという考えに基づいています。
ボーイスカウト宇都宮第15団に小中高時代に在籍し、吉沢偉仁の保育理念形成には、ボーイスカウト運動の創始者であるロバート・ベーデン=パウエル卿の教えが大きな影響を与えました。
自律心を育てる上での難しさ
1. 「自律」と「自立」の違いの理解と実践
「自律」とは、自分でルールを作り、自分の行動を統制・制御しようとすることであり、自分をコントロールする意味合いが含まれます。
一方、「自立」は他者に頼らず独立している状態を指します。この二つの概念を混同せず、それぞれの段階や特性に応じたアプローチをすることが重要です。
特に幼児期においては、自己中心的になりがちな子どもに対して、社会のルールや他者との関わりの中で自分の行動を「律する」ことを教えるのは難しい側面があります。
2. 言葉での「教え込み」の限界
幼い子どもにとって、言葉だけで理屈を説明しても、理解させるのは非常に困難です。親や保育者が一生懸命説明しても、子どもがどこまで理解しているか把握しづらく、コミュニケーションの難しさが生じます。
言葉を使うコミュニケーションがまだ十分に発達していない幼児期に、どのようにして「自律心」という抽象的な概念を伝えていくかが課題となります。
3. 子どもに「やらせすぎない」「与えすぎない」こと
子どもの自律心を育むためには、「自分でやりたい」という気持ちを尊重し、様々な経験を通じて達成感を味わわせることが大切です。
しかし、親や保育者が先回りしてすべてをやってしまったり、子どもが求める物をすべて与えてしまうと、子どもは自分で考えたり判断したりする機会を失い、親に依存する傾向が強くなる可能性があります。
子どもに任せることには忍耐が必要であり、危険や手間を避けたいという気持ちとの葛藤が生じます。
4. 保護者との連携
「こんな子に育ってほしい」という保護者の願いは尊いものですが、そのための手段や方法が子どもに合っていないと、心のすれ違いが生じ、自律心を育むことが難しくなる場合があります。
園と家庭とで「自律心」育成に対する共通理解を持ち、一貫したアプローチをすることの重要性は認識されているものの、それぞれ異なる育児観や教育観を持つ保護者との足並みを揃えることには難しさがあります。
5. 発達段階に応じたアプローチ
自律心は、子どもの発達段階に応じて変化します。2〜3歳頃には本能的欲求に基づく衝動的な行動が中心である一方、就学期に向けて周囲の規範を意識し始めるなど、段階的な変化が見られます。
そのため、子どもの年齢や個性に応じた適切な関わり方が求められ、画一的な指導では効果が得られにくいという難しさがあります。
自律心は、子どもが自分らしい人生を歩み、後悔のない人生を送るために不可欠な能力ですが、その育成には多くの工夫と忍耐、そして周囲の理解が必要とされます。