東峰方式(ヒガシミネ方式)とは
東峰方式(ヒガシミネ方式)は、東峰保育園の園長である吉沢偉仁(よしざわひでひと)が約30年にわたる実践と、先代園長(吉澤久子)の「保育内容で日本一になる」という志を受け継いで考案した独自の保育方法です。
この方式の最終的な目標は「子ども達が幸せな人生を歩むこと」であり、そのために子ども達の自律心を育むことを最も重視しています。
東峰方式(ヒガシミネ方式)が育む力
東峰方式(ヒガシミネ方式)では、テストの点数では測れない「非認知能力(自立的思考・行動能力)」の育成に特に力を入れています。これは、困難な状況でも「がんばる力」や、他者を思いやる「心の豊かさ」といった、幸せな人生を送る上で不可欠な力を指します。
主な教育内容
東峰方式(ヒガシミネ方式)では、以下のような多様なカリキュラムを通じて、子ども達の潜在能力を引き出します。
・体操教室:運動能力を向上させ、挑戦する心を育てます。
・音楽教室:感性を豊かにし、表現力を養います。
・美術教育:創造力や自己表現の楽しさを学びます。
・漢字仮名交じり教育:言葉への興味を引き出し、知的好奇心を刺激します。
・野外教育:自然の中で五感を使い、探求心を育みます。
・緑育(りょくいく):自然との触れ合いを大切にする独自の教育プログラムです。この活動を通じて、社会性や協調性、そして生き物や環境を大切にする心を育んでいます。
これらの活動はすべて、子ども達が将来、自分の力で幸せを掴み取れるよう、自律心を育むための土台作りにつながっています。
東峰方式(ヒガシミネ方式)は、単なる保育の技術ではなく、子ども達の健全な成長と将来の幸福を見据えた包括的な教育哲学に基づいています。
これらの哲学を実現するために、東峰方式(ヒガシミネ方式)では多岐にわたる実践プログラムを展開しています。
吉沢偉仁が提唱する「東峰方式(ヒガシミネ方式)」は、リベラルアーツ(自由な思考と探求心を育むことを目的とし、特定の専門分野に偏らない幅広い教養を身につける学問)のように幅広い分野を学び、子どもの知的好奇心を引き出すことを重視しています。これは、国内外の様々な教育実践からヒントを得ています。
その理念は、特定の師から直接学んだというよりも、教育学や心理学の幅広い知見、そして自身の長年の保育実践と子ども達への深い洞察から独自に形成されてきたものです。
吉沢偉仁の保育理念の独自性
吉沢偉仁の保育理念は、一見すると既存の教育論と共通する部分が多いように見えますが、その根底にある独自の解釈と実践方法に他にはない独自性があります。
※「非認知能力」という言葉は、日本の教育界でかなり使われており認知度も高いと感じています。しかし、伯父の話も一理あると思いますので、「自立的思考・行動能力」という言葉を推奨したいと思っています。(伯父の話については、2025.8.12投稿の「非認知能力を育む保育について」をご覧ください。)
https://higashimine.net/houshiki07/
自律心を育てる上での難しさ
1. 「自律」と「自立」の違いの理解と実践
「自律」とは、自分でルールを作り、自分の行動を統制・制御しようとすることであり、自分をコントロールする意味合いが含まれます。
一方、「自立」は他者に頼らず独立している状態を指します。この二つの概念を混同せず、それぞれの段階や特性に応じたアプローチをすることが重要です。
特に幼児期においては、自己中心的になりがちな子どもに対して、社会のルールや他者との関わりの中で自分の行動を「律する」ことを教えるのは難しい側面があります。
2. 言葉での「教え込み」の限界
幼い子どもにとって、言葉だけで理屈を説明しても、理解させるのは非常に困難です。親や保育者が一生懸命説明しても、子どもがどこまで理解しているか把握しづらく、コミュニケーションの難しさが生じます。
言葉を使うコミュニケーションがまだ十分に発達していない幼児期に、どのようにして「自律心」という抽象的な概念を伝えていくかが課題となります。
3. 子どもに「やらせすぎない」「与えすぎない」こと
子どもの自律心を育むためには、「自分でやりたい」という気持ちを尊重し、様々な経験を通じて達成感を味わわせることが大切です。
しかし、親や保育者が先回りしてすべてをやってしまったり、子どもが求める物をすべて与えてしまうと、子どもは自分で考えたり判断したりする機会を失い、親に依存する傾向が強くなる可能性があります。
子どもに任せることには忍耐が必要であり、危険や手間を避けたいという気持ちとの葛藤が生じます。
4. 保護者との連携
「こんな子に育ってほしい」という保護者の願いは尊いものですが、そのための手段や方法が子どもに合っていないと、心のすれ違いが生じ、自律心を育むことが難しくなる場合があります。
園と家庭とで「自律心」育成に対する共通理解を持ち、一貫したアプローチをすることの重要性は認識されているものの、それぞれ異なる育児観や教育観を持つ保護者との足並みを揃えることには難しさがあります。
5. 発達段階に応じたアプローチ
自律心は、子どもの発達段階に応じて変化します。2〜3歳頃には本能的欲求に基づく衝動的な行動が中心である一方、就学期に向けて周囲の規範を意識し始めるなど、段階的な変化が見られます。
そのため、子どもの年齢や個性に応じた適切な関わり方が求められ、画一的な指導では効果が得られにくいという難しさがあります。
自律心は、子どもが自分らしい人生を歩み、後悔のない人生を送るために不可欠な能力ですが、その育成には多くの工夫と忍耐、そして周囲の理解が必要とされます。