大人の不適切な言葉が子どもの脳を傷つける
2025年度 児童虐待に対応するための研修会より その①
○子どもの人権を取り巻く諸課題への理解と対応について
(栃木県教育委員会事務局教育政策課人権教育室)
栃木県における令和6年度の児童虐待相談対応件数は、4140件でした。
虐待を行ったのは実母が最多で50%以上、虐待をされたのは小学生が最多で30%以上、虐待種別は心理的虐待が最多で50%以上でした。
子どもの人権に係る法整備については、令和5年にこども家庭庁の発足、こども基本法、栃木県ケアラー支援条例の施行、令和6年と7年の改正児童福祉法が施行されました。
これにより、「ヤングケアラー」「職員による虐待の通報の義務」も合わせて、子どもの人権を守るための取り組みが加速しました。
早期発見のポイントとしては、「何となく変」を見逃さない、多くの目で子どもを見る、一瞬のSOSに対応できるように相談しやすい環境作りをすることが大切です。
○指導者として気をつけること
1.子どもとの信頼関係を大切にする
2.子どもの自尊感情を高める
3.協力しながら指導・支援に取り組む
4.指導者としての言動を見つめ直し、常に人権意識を高めていく
園や保育士にはこのように注意して子どもと関わるよう求められていますが、これは親も同じです。
○子どもの脳を傷つけない子育て【概要】
(友田明美先生)
福井大学子どものこころの発達研究センター教授、小児神経科医
1987年熊本大学医学部医学研究科卒業。医学博士。2011年6月より現所属。著書に新書『子どもの脳を傷つける親たち』(NHK新書)、『虐待が脳を変える 脳科学者からのメッセージ』(共著/新曜社)などがある。
「子どもへの避けたい関わり」のことを、マルトリートメントといいます
マルトリートメント(不適切な関わり)とは
マルトリートメントとは、大人による子どもへの不適切な関わり全般を指す言葉です。身体的虐待やネグレクトだけでなく、しつけと称した体罰、人格否定、親の考えの押し付けなど、子どもの心身に悪影響を及ぼす行為も含まれます。
世界保健機関(WHO)も、虐待やネグレクトだけでなく、より広範な概念として捉える指針を示しています。
マルトリートメントの具体例
マルトリートメントには、以下のような行為が含まれます。
・しつけと称して叩くなどの身体的関わり
・親の考えを押し付けたり、人格を否定する言葉を浴びせる心理的関わり
・子どもを危険にさらす可能性のある行為
・子どもの前での夫婦喧嘩、大声で怒鳴る、親の気分で態度を変える行為
子どもへの影響
マルトリートメントは、子どもの心身に様々な悪影響を及ぼします。
脳の発達に影響を与え、脳の変形を引き起こすことがあります。
愛着障害につながり、他者との人間関係や情緒の安定に問題が生じる可能性があります。
大人になってから心のトラブルや意欲低下、対人関係の問題を引き起こすことがあります。
対策と予防
マルトリートメントは日常的に起こり得るため、親が子どもを傷つける接し方をしている可能性があることを認識することが重要です。
2020年4月からは児童福祉法等改正法により体罰が禁止されています。
地域の相談窓口や児童相談所などが、保護者からの相談を受け付け、サポートや啓発に取り組んでいます。
相談窓口
子育てに悩んだり、不安を感じたりした場合は、一人で抱え込まず、地域の相談窓口や児童相談所などに相談することが大切です。
その② マルトリートメントの背景にある様々な要因 に続く