なぜ私は「少人数制保育」にこだわるのか?〜一人ひとりの『できた』に寄り添うために〜
東峰保育園を運営するうえで、私がどうしても譲れないこだわりのひとつが「少人数制の保育」です。
一斉保育の確かな枠組み(東峰方式)をベースに持ちながらも、なぜ少人数制にこだわるのか。それは、子ども達一人ひとりの表情や小さな変化を丁寧に見つめ、「できた」という成功体験を確実に積み重ねてほしいと心から願っているからです。
今回は、私が少人数制保育に込めている想いと、その中で大切にしていることについてお話しいたします。
少人数制だからこそ実現できる、深くてあたたかい保育
大人数の集団の中では、どうしても活発な子の声にかき消されてしまったり、静かに葛藤している子のサインを見落としてしまったりすることがあります。
しかし、少人数制であれば保育士の目が子ども達一人ひとりにしっかりと届きます。
自己肯定感を育むきめ細やかな関わり
小さな成功や失敗の経験、日常の何気ないつぶやきを保育士が言葉で丁寧に拾い上げることで、子ども達は「自分は見守られている」という深い安心感と自己肯定感を育んでいきます。
主体性と非認知能力を伸ばす余白
「一人ひとりが自分のペースで試行錯誤できる環境」こそが、自ら考える力(非認知能力)を育てます。人数が適切だからこそ、子ども達の興味に合わせた問いかけや、全員の「自分の考え」に耳を傾ける時間を十分に確保できるのです。
濃厚な信頼関係と安心感
保育士との心の距離が近く、お友達同士の顔ぶれも安定しているため、人間関係がより深く温かいものになります。家庭の延長線上にあるような心理的安全性がここにはあります。
現実的な課題と、園長としての決意
一方で、少人数制を維持することは決して容易ではありません。経営者として、現実的な課題や限界とも常に向き合っています。
受け入れ枠の限界
おかげさまで多くの方からご入園のお問い合わせをいただきますが、少人数制を守るがゆえに定員枠が限られ、入園をお待ちいただく状態が続いてしまう心苦しさがあります。
手厚い環境と運営コスト
東峰保育園では、基準の2倍の広さを誇る園児室など、子ども達が伸び伸びと過ごせる施設環境を整えています。また、一人ひとりに手厚く関わるための保育士配置など、経営面での投資や努力も欠かせません。
人間関係の広がりと園外活動
人数の少なさが人間関係の「狭さ」にならないよう、東峰保育園では園外活動や地域との連携・自然体験を積極的に取り入れ、外部の多様な刺激に触れられる機会を意識的に創出しています。
一人ひとりの大切な未来のために
一人ひとりの子ども達と真剣に向き合い、その可能性を極限まで引き上げるためには、「少人数で丁寧に関われる環境」が不可欠な前提条件なのです。
子どものペースに合わせて待つ。試行錯誤を温かく見守り、必要な時にそっと手を差し伸べる。
効率や規模を追い求めるのではなく、これからも子ども達の10年、20年先を見据えた「真の幼児教育」を届けるために、私はこの少人数制保育へのこだわりを大切に守り続けてまいります。
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指示役から「伴走者」へ〜東峰方式が考える、これからの保育者の役割〜
東峰保育園で子ども達の主体性を育む「東峰方式」を実践していく中で、私が特に実感しているのが「保育士の立ち位置や日々のかかわり方の変化」です。
一斉保育の枠組みや安心感のある土台を大切にしながらも、その中で子ども達が自ら考え、動き出すために、私たち保育者はどのような存在であるべきなのか。
今回は、私たちが考える「これからの保育者の役割」についてお話しいたします。
1. 指示役から「環境を整える人(環境デザイナー)」へ
以前の一般的な一斉保育では、保育士が活動内容や手順をすべて決め、「さあ、こうしようね」と全体を力強くリードする役割が中心でした。
しかし私は、「子ども達の好奇心をくすぐり、自分のリズムで学べる環境を用意することこそが、よい指導者の役割である」と考えています。
「何をさせるか」を一から十まで教え込むのではなく、「どんな環境や準備があれば、子ども達が自分から夢中になって動き出すか」を考える。教材や空間の工夫を通して子ども達の「やりたい!」を引き出す「仕掛け人」としての役割を、私たちはとても大切にしています。
2. 教える人から「対話して引き出す人(ファシリテーター)」へ
主体性を育む現場では、保育士が一方的に説明したり指示を出したりする時間を極力減らしています。その代わりに増やすのが、子ども達の気づきや考えを言葉にしてもらう「対話の時間」です。
すぐに正解を提示するのではなく、 「どう思った?」 「次はどうしてみたい?」 と問いかけ、子ども達の内側から溢れ出る言葉や考えを優しく引き出す。
たとえ上手くいかないことがあっても、それを「大切な経験」として一緒に振り返り、次の挑戦への自信へと変えていく――。そんな子どもの思考にそっと寄り添う対話者でありたいと考えています。
3. 全員一律から「一人ひとりを見つめる人(伴走者)」へ
「全員が同じタイミングで同じことをする」ことだけを目的としてしまうと、子ども達一人ひとりの細かな変化は見えにくくなってしまいます。だからこそ東峰保育園では、少人数制の良さを生かし、子ども達のペースや興味の違いを前提に保育を組み立てています。
ただ集団をまとめるのではなく、
・個々の成長段階やその日の状態をじっくり観察する
・活動の中で見せた小さな成功や挑戦を逃さず拾い、言葉にして届ける
このように、全員を同じ枠にはめるのではなく、一人ひとりの歩みに寄り添い走る「伴走者」として見守ることを徹底しています。
4. チームで成長を支える「協働」の姿勢
子ども達の非認知能力や主体性を育む多様な活動を行うためには、保育士が一人の「先生」として孤立していては成り立ちません。
単に行事のために一斉指導の足並みをそろえること以上に、日頃から「今日、〇〇ちゃんはこんな表情をしていたよ」「次はこんなアプローチをしてみようか」と、保育士同士が日常の保育について対話し合い、情報を共有することが重要になります。
一人の力で抱え込むのではなく、チーム全体で子ども達の成長を温かく包み込む。大人たちのその柔軟な姿勢こそが、子ども達の伸びやかな育ちを支える一番の土台になると信じています。
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